本記事では心理的リアクタンスとはなにか、世界一わかりやすく解説します。
結論から先に書くと、心理的リアクタンスとは「制限されると反発したくなる心理」のことです。
詳細を知りたい方はちょっとだけお付き合いください。
具体例や実験例を交えて解説していきます。
目次
心理的リアクタンス理論とは

心理的リアクタンスとは「人間は自由を制限されると激しく抵抗し、自由を回復しようとする」という理論です。
「○○しちゃダメ!」や「○○禁止!」と言われると、なぜかやりたくなってしまいますよね。
【心理的リアクタンス】制限されると反発したくなる
人間は自由を制限されると、ますます自由に執着したくなります。
自分でものごとを意思決定したいという欲求があるからですね。
そのため禁止や強制をされることが、ものすごく不快に感じます。
心理的リアクタンスの語源
1966年に心理学者ジャック・ブレーム(Jack W Brehm)が提唱しました。
これは個人の「自由」について、心理学的にアプローチした理論です。
ちなみに英語では
Theory of Psychological Reactanceと書きます。
心理的リアクタンスの日常の具体例
心理的リアクタンスは、ぼくたちの日常においても様々な影響を及ぼしています。
恋愛でみられる心理的リアクタンス

ロミオとジュリエットのように自由を制限されると、より一層燃え上がる恋に落ちるとかね。
この心理は作品にちなんで、ロミオとジュリエット効果と呼ばれるらしい。
上司と部下の関係でよくある心理的リアクタンス

人は自分の自由を侵されると、抵抗したくなる。
例えば職場の上司と部下の関係。
上司は部下に対してお願いする時に
「あれやっといて」「これはするな」とかいった強制や禁止を表す言葉は回避したほうがよさそう。
その表現をしてしまうと、無意識に心理的リアクタンスが働いてしまうかもしれないからね。
もちろん関係の親密度や方針にもよるからケースバイケースだけど。
ようは言い方が大事ってことなんだね。
マーケティングにみられる心理的リアクタンス

「〇〇な人は絶対に申し込まないで下さい」とか
「〇〇できない人は購入しないことをおススメします」とかいう文章。
これにも禁止を表すワードが入っているので、
逆に申し込みたくなったり、購入したくなったりする心理が隠れているよ。
親子関係でありがちな心理的リアクタンス

例えば
宿題やりなさい:今からやろうと思っていたのに。もう嫌だ!やらない!
学校行きなさい:親も学校も私の自由を奪う敵だ!行きたくない!引きこもってやる!
そろそろ結婚しなさい:てめえなに様だよ。自分がしたい時にするからいいんだよ!
公務員になって安定しなさい:自分の価値観押し付けんなよ!自分の道は自分で決める!
これらは実際に僕が人から直接聞いた話です。
ちょっと口が悪いところもあるけど(笑)
意外と日常で頻繁に起こっていることだね。
夫婦関係でありがちな心理的リアクタンス

夫婦にはいろんな問題がつきものかと思います。
問題が発展すると離婚してしまうこともしばしば。
今は3組に1組が離婚していると言われていますし。
無駄遣いしないでよ!と言えば無駄遣いされる。
浮気しないでよ!と言えば浮気される。
いやいや、されるから注意するんだよ!という声も聞こえてきそうですが(冷や汗)。
説得しようとすると逆に心理的リアクタンスが働いて
反抗されたり、距離を置かれたり、拒絶されたりして
ますます問題を助長させてしまうなんてこともあるみたいだね。
心理的リアクタンスの実験結果や効果

自分の意見に反対されると人はどうなるのでしょうか?
アメリカのHewlett-Packard(HP)社のソーシャル・コンピューティング研究部門に属する心理学者たちが、ある研究をおこないました。
そこで彼らが発見したのは
人は、自分と意見を異にする人が多いときよりも少ないときの方が、自分の考えを変える可能性が高くなる傾向にある
ということ。
心理的リアクタンスの実験内容
研究者たちは、数百人を対象に、2つの家具のどちらを好んで選ぶかを尋ねる実験をおこないました。

実験は2回です。
1回目
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2回目
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そうするとどんな結果が出たのでしょうか。
心理的リアクタンスの実験結果
自分と違う家具を選んだ人の数が多いと、より自分の選択に固執しました。
実験からわかること
相手の考えを変えたい場合は、否定や批判を避けるべきです。
反対意見が小さい方が、大きい場合よりも、人の考えを変えるのに効果的なんですね。
心理的リアクタンスに関連する心理学
心理的リアクタンスに関連する、代表的な心理効果を4つご紹介します。
内容を深めたい方は、ついでに読んでみてください。
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、禁止されればされるほど、気になる心理現象です。
アメリカ・イタリア合作映画『カリギュラ』が語源。
内容が過激だったため、一部地域で映画の公開が禁止になりました。
それがかえって世間の目を惹いたんですね。
つまり人は禁止されると、ますますそのことが気になる。
ブーメラン効果
ブーメラン効果とは、相手を説得しようとすればするほど抵抗を受けてしまう心理現象です。
説得の逆効果といって、人を説得するつもりが、かえって相手の抵抗や反発を招いてしまうんですね。
ブーメランは投げたら戻ってくるので、言葉だけ見ると「戻ってくるからいいじゃん!」ってイメージがあります。
しかし実際は、戻ってきたブーメランで自分自身が傷つくっていう皮肉な意味としてとれます。
ロミオとジュリエット効果
ロミオとジュリエット効果とは、障害があった方が逆に燃えるという心理現象です。
ロミオとジュリエットは親同士の仲がよくないので、二人が付き合っていることを知ると、仲を引き裂いて別れさせようとします。
しかしロミオもジュリエットも親たちの介入に反発して、恋愛をエスカレートさせていきます。
希少性の原理
希少性の原理とは簡単にいうと、需要>供給となる現象のことをいいます。
例えばこのようなもの
・数量限定 ・期間限定 ・地域限定 |
限定をされると、今手に入らなければ損するという気持ちが高まる。
人間は得よりも損したくない心理の方が強く働きます。
この損失を回避したいというリアクタンスが、希少性の原理を生み出すんですね。
心理的リアクタンスの対策
心理的リアクタンスは、意外と日常で起きることがお分かり頂けたかと思います。
ここでは心理的リアクタンスとうまく付き合っていくためのポイントをまとめました。
言葉を伝える側と、受け取る側で対策が変わるので、ぜひ意識してみてください!
心理的リアクタンス:伝える側の対策
伝える側の対策はこの3つ。
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心理的リアクタンス:受け取る側の対策
受け取る側の対策はこの3つ。
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心理的リアクタンス理論の参照論文
心理的リアクタンスについては諸説あります。
その中でも、広島大学教育学部の深田博己さんの論文(PDF)が分かりやすくて参考になりますよ。
ずいぶん前の論文ですが、知識を深めたい人はぜひ読んでみてください。
引用元:広島大学 学術情報リポジトリ
心理的リアクタンス理論のまとめ

「人間は自由を制限されると激しく抵抗し、自由を回復しようとする」性質を持っている。
反発したり回避したりすることもありますよね。
この性質を理解しておくだけで、人に何かお願いをする時や自分が何かを頼まれたりする時に、ある程度冷静な判断ができるようになる。
それに人間関係って、恋人、夫婦、親子、家族、職場、学校、他にもいろんな関係性がありますが、お互いが自分にも相手にも、心理的リアクタンスが働いていることを理解しておくだけで楽です。
ストレスも結構減っていきそうですよね。
ポイント ・心理的リアクタンス理論とは自由を侵されるほど抵抗したくなる心理現象のこと。 ・あなたは自由を制限されると、ますます自由に執着したくなる。 ・人間は誰もが心理的な反発をしている。 |
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