プロスペクト理論とは?身近な例や関連する心理学でわかりやすく解説 | おもしろ心理学

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プロスペクト理論とは?身近な例や関連する心理学でわかりやすく解説

2019/04/17
 
プロスペクト理論。損失を回避したい心理学
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「おもしろ心理学」を執筆中。仕事や人間関係をきっかけに心理学に興味を持ち、独自に学び始める。その知恵と経験を活かして恋愛、仕事、家族、目標達成など様々な分野の情報発信をおこなう。 1991年10月15日福岡県福岡市生まれ。 好きな食べ物はハヤシライス。
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ゆうじ
こんにちは。おもしろ心理学のゆうじです。

マーケティングや投資・ギャンブルでも重要なプロスペクト理論。

身近な例を使って、わかりやすく解説します。

 

 
こんな方へ

  • プロスペクト理論について、中学生でもわかるように解説してほしい。

 

 

この記事を読めば、以下のメリットがあります。

  • プロスペクト理論について、図やグラフを使って簡単に理解できる。
  • プロスペクト理論の身近な例がわかる。
  • 関連する心理学もついでに知りたい。

 

それでは見ていきましょう。

プロスペクト理論とは

恐怖から両手を前に押し出して距離を取る人の様子

プロスペクト理論とは、人は得をするよりも、損をしたくない!という気持ちの方が強くなるという理論です。

 

  • 得をしたい!< 損したくない!

 

だいたい2倍から2.5倍ほど、損したくない思いが強くなると言われています。

 

ちなみに英語でプロスペクト(prospect)とは、期待・見込み・予想といった意味があります。

 

ゆうじ
プロスペクト理論は、認知心理学者であるダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーによって1979年に提唱されました。

カーネマンさんは、2002年にノーベル経済学賞も受賞しています。(残念ながらこの時すでにトヴェルスキーさんは他界しています。)

 

プロスペクト理論の実験例

暗いトンネルの先に見えるクエスチョンマークのライト

 

ここで質問です。

問1

どちらを選びますか?

  • A:100%の確率で9,000円もらえる。
  • B:90%の確率で10,000円もらえ、10%の確率で何ももらえない。

 

問2

どちらを選びますか?

  • A:100%の確率で9,000円を失う。
  • B:90%の確率で10,000円を失い、10%の確率で何も失わない。

 

 

回答の傾向

  • 問1:多くの人がAを選ぶ。
  • 問2:多くの人がBを選ぶ。

 

 

つまり

  • 人は利益を得られる場面では、確実性を選ぶ
  • 損失を被る場面では、不確実性を選ぶ

 

以上のことから、人間は「何も得られないのはイヤだし、何かを失うのも絶対にイヤ!」という性質があります。なにがなんでも損失を避けたいんですね。

 

では、身近な事例をご紹介します。

 

プロスペクト理論の身近な例

 

両指を組んでまぶたを閉じている女性の横顔

行動経済学で語られることの多いプロスペクト理論ですが、身近な例として人間関係、仕事、ギャンブル…などいろいろあります。

そこで、日常にある身近な事例を6つご紹介します。

  • 恋愛
  • 政治
  • マーケティング
  • コピーライティング
  • 投資(FX・株)
  • ギャンブル(パチンコ)

 

それぞれ見ていきましょう。

 

(1)恋愛

恋愛

このように思ったことはないですか?

  • 連絡した方がいいのかな。
  • 告白しようか、どうしようかな。
  • ほんとうにこの人でいいのかな?

このような考えや迷いにも、プロスペクト理論が働いています。利益による幸福感よりも、損失による苦痛を避けたいので、なかなか行動できないです。

 

 

また、今恋人がいる人は相手を失いたくないあまりに、思いがけない行動を取ることがあります。それがいきすぎると、ストーカーや殺人事件になるのでしょうね。

 

 

ゆうじ
人間がもつ「損失を回避したい欲求」は、諸刃の剣ですね。一歩間違えると悲惨な事件を招くことにも繋がります。

 

(2)政治

政治

プロスペクト理論は、政治においてもしばしば語られます。

革命的に攻めの政治を行う党もあれば、保守的に政治を行う党もありますよね。どちらが良い悪いではなく、重要なのはどちらにも「損失を回避したい心理」が働いているということです。

 

また、これは国内政治だけでなく国際政治にもあてはまります。

 

ゆうじ
特に日本は、政治に限らず会社においても、損失を回避したい心理が働いているように思います。あなたはどう思いますか?

 

 

(3)マーケティング

マーケティング

プロスペクト理論はマーケティングにおいて、ものすごい効果を発揮します。

詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照ください。

関連記事:マーケティングにおけるプロスペクト理論

 

(4)コピーライティング

コピーライティング

マーケテイングと同じく、文章にも役立つのがプロスペクト理論です。

この心理を理解しておくだけで、文章の書き方、表現方法が変わります。

詳しく知りたい方は、こちらも参照ください。

関連記事:コピーライティングにおけるプロスペクト理論

 

(5)投資(FX・株)

投資

投資においてまず語られる心理学が、プロスペクト理論といっても過言ではないです。投資において、この理論を克服しておかないと、後で痛い目にあいます(体験済です(;O;))。

 

投資を始める方、すでに始めている方も失敗を避ける為に、一読をおススメします。

関連記事:投資におけるプロスペクト理論

 

(6)ギャンブル(パチンコ)

ギャンブル

投資と似ているところがあるかもしれませんが(全く同じという人もいる)、ギャンブルにおいてもプロスペクト理論は働きます。

 

 

確実に利益を得たいけど、損失が続くと今度は損失を取り戻したい気持ちが出てきます。そうなると、ドツボにハマっていってしまうので、要注意です。

関連記事:ギャンブルにおけるプロスペクト理論

 

プロスペクト理論を図やグラフで解説

プロスペクト理論の克服方法
 

プロスペクト理論は、以下の3つから成り立ちます。

  1. 価値関数
  2. 確率加重関数
  3. 参照点依存性

それぞれグラフや図を用いて、見ていきましょう。

 

(1)価値関数

プロスペクト理論 価値関数のグラフ1

利得よりも損失を重要視することを表した関数を、価値関数といいます。

 

人間は利得よりも損失を重要視する

  • 客観的な利得/損失と主観的な価値は異なる
  • 客観的な利得/損失と主観的な価値は比例関係ではない

 

そのため、下記のようなグラフになります。

プロスペクト理論 価値関数のグラフ2

(手書きで失礼します。)

グラフ右上の利得領域と、左下の損失領域で、変化の度合いが異なりますよね。

損失を避けたいため、10円得をすることより、10円損することの方が人は気になります。

また、例えば100円と110円よりも、0円と10円の差の方が大きく感じます。

 

ゆうじ
ちなみに扱う金額が大きくなるほど、損得の感覚が小さくなっていくことを感応度逓減性といいます。

 

(2)確率加重関数

 

プロスペクト理論 確率加重関数のグラフ1

確率によって、リスクの感じ方が変わることを表した関数を、確率加重関数といいます。

 

確率の違いによって、人間はリスクを回避したり、リスクを取りにいったりします。

  • 客観的確率が低い状態だと、過大評価する傾向が強まります。
  • 客観的確率が高い状態だと、過小評価する傾向が強まります。

 

そのため、下記のようなグラフになります。

プロスペクト理論 確率加重関数のグラフ2

客観的な確率が低い時、主観的な確率は上がっていますよね。これを自信過剰と呼びましょう。

一方で、客観的な確率が高い時、主観的な確率は低いですよね。これを疑心暗鬼と呼びましょう。

 

事例

  • 自信過剰:宝くじを買う。自分は当たるかもしれないと思うから。
  • 疑心暗鬼:交通事故を恐れる。自分が事故を起こすかもしれないと思うから。

 

ゆうじ
例えば、90%の確率で成功する試験ですと言われると、客観的確率は高いけど、主観的確率は74%の確率に感じてしまいます。

 

(3)参照点依存性

プロスペクト理論 参照点依存性について

上記グラフの、原点を参照点といいます。この参照点(原点)を基準に、人はモノの価値や価格を相対的に評価します。これを参照点依存性といいます。

 

参照点とは

  • 高い・安いの基準
  • 価値がある・ないの基準
  • 良い・悪いの基準

 

つまり、参照点によって人の損得が変わります。人は参照点に依存して、相対的にモノゴトを判断していることを、理解しておきましょう。

 

ゆうじ
人間は基本的に、絶対評価ができません。例えばこのりんごは安いでしょうか、高いでしょうかと質問されても、りんごの相場がわからないと安いか高いか判断ができませんよね。

 

人間が損失を回避したい理由【プロスペクト理論】

クエスチョンマークの印がついた木々

理由は狩猟採集時代までさかのぼります。壮大ですね…

狩りをしたり、木の実を採集していた時代では、まだ食糧を保存する方法を知りませんでした。食料=命なわけですから、なんとしても守りたいわけですね。

そのため、人類は大昔から何かを得ることより、何かを失うことを避ける傾向が脳にインプットされていると考えられます。

 

ゆうじ
どこで動物に襲われるかわからないし、いつ食料が確保できるかわからない状況は、かなり恐怖ですよね。

 

プロスペクト理論に関連する心理学

PCを見つめる男性

プロスペクト理論には、関連する心理学があります。

その中で代表的な8つの心理学用語をご紹介します。

 

(1)フレーミング効果

フレーミング効果とは、いわゆる「ものは言いよう」を表した心理学用語です。同じ言葉でも、表現の仕方によって別の解釈になってしまいます。

 

  • たったの100円しか値段が変わらない!
  • 100円も値段が変わる!

 

フレーミング効果によってある選択肢の解釈が変わると、その選択肢が「得すること」なのか「損すること」なのかの判断も変わりますよね。つまり、プロスペクト理論は、選択の段階でフレーミング効果の影響を大きく受けているということです。

 

詳しく知りたい方はこちらを参照ください。

関連記事⇒フレーミング効果とは?

 

(2)ヒューリスティック

今までの経験則で判断することを、ヒューリスティックといいます。人間は、自分の経験を基準にものごとを判断するクセがあります。

 

  • なんか違う気がする
  • なんかいけそうな気がする
  • まあなんとかなるだろう

上記のようなことを思ったり、モノゴトを短絡的に考えたりすることってありますよね。

 

このヒューリスティックが強いと、プロスペクト理論をいくら理解していても同じことを繰り返してしまいます。

そうならないためにも、ヒューリスティックとプロスペクト理論はどちらも理解しておきましょう。

関連記事⇒ヒューリスティックとは?4つのタイプをわかりやすく解説【心理学】

 

(3)保有効果

人間には、自分が所有しているモノを失いたくないという欲求があります。それを保有効果といいます。

 

  • 頭では分かっているけど、手放したくない
  • 投資で損切りができない
  • 捨てたいけど、捨てられない

執着ともいえるかもしれませんね。

保有効果が働くと、肝心なタイミングでモノゴトを手放すことができません。その結果、ズルズルと失敗への道を歩んでしまうことになります。

 

保有効果とプロスペクト理論との間で、人はしばしば葛藤します。損失を回避したけど、もったいないからできないとか、よくありますよね。

関連記事⇒保有効果とは?

 

(4)損失回避の法則

人は無意識に利益を得ることよりも、損することを避けようとします。これを損失回避の法則といいます。損失回避バイアスともいいますね。

 

どちらを選択するか?

  • 必ず10万円もらえる。
  • コインを投げて表が出たら20万円もらえるが、裏が出たらなにももらえない。

 

プロスペクト理論とは言い方が違うだけで、意味合いはほとんど同じと思ってもらってOKです。

ここで覚えておきたいのが、損失を回避したい気持ちは、さらなる損失を生むこともありますので、要注意ということです。

 

関連記事⇒損したくない性格は変えられる?損失回避の法則を知って楽に生きる

 

(5)現状維持の法則

現状維持の法則とは、人間は選択肢が複数ある場合、いつもと同じ選択をしてしまうという法則です。

 

  • A社に転職する
  • B社に転職する
  • C社に転職する

 

このように選択肢が複数ある場合、人は「転職しない」を選びやすい傾向があります。

なかなか人が変われないのは、現状維持の法則が働くからです。

関連記事⇒現状維持の法則とは?

 

(6)決定回避の法則

決定回避の法則とは、人間は選択肢が複数ある場合、決断力が下がってしまうという法則です。いわゆる先延ばしですね。

 

  • 夏休みの宿題をする
  • 公園でともだちと遊ぶ
  • 家でゴロゴロする

 

この状況下において、だいたい夏休みの宿題は先延ばしされます。笑

関連記事⇒決定回避の法則とは?

 

(7)コンコルド効果

コンコルド効果とは、モノゴトが失敗に終わると予想がついているのに、やめることができない心理効果です。

 

  • 投資をして元本割れしたけど、いつか上がる!と期待してそのままにしている
  • 損失を何とか取り返したいと思い、ギャンブルにお金をつぎ込む

 

プロスペクト理論の損失を回避したい欲求と、コンコルド効果が掛け合わされると、タチが悪いです。

これが原因でどんどん損失を膨らませることになりますので、気を付けましょう。

 

(8)アンカリング効果

アンカリング効果とは、モノゴトを歪んで判断してしまう認知バイアスのことです。印象的な情報や数値が基準になって、その後の判断や行動に影響を与える心理効果です。

 

  • これは10万円の商品です。
  • これは15万円 10万円の商品です。

 

最初の数値によって、10万円が高いか安いか、受け取る印象が変わってしまいます。

15万円のように書かれたアンカリング効果の影響を受けると、機会損失を回避したい欲求が強まることもあります。つまり、今安いうちに買わないと損する!と思ってしまうんですね。

 

関連記事⇒アンカリング効果とは?

 

プロスペクト理論まとめ

プロスペクト理論のまとめ

いかがでしたでしょうか。

プロスペクト理論は、とても奥が深い心理です。関連する心理学も多数あるため、あわせて理解しておきたいところですね。

 

まずは自分の身近なことでプロスペクト理論が起こっていないか、調べてみるのもおススメです。本(書籍)や論文をみて、理解を深めるのもいいですね。

 

ポイント

  • プロスペクト理論はあらゆる分野で応用できる。
  • 人は状況によって損得を冷静に判断できなくなる。
  • 失いたくない気持ちが、さらに失う現実をつくりだすこともある。

 

行動経済学入門 基礎から応用までまるわかり [ 真壁昭夫 ]
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  1. […] として考えています。 なので減ることに対して抵抗感が強く、行動経済学のプロスペクト理論が強く働いている人です。 このプロスペクト理論についてはこちらを参考にしてください。 […]

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