初めて出会った人と、2回目出会った人では相手の印象が変わりますよね。
これをザイオンス効果といいます。
今回はこのザイオンス効果の身近な事例をご紹介します。
恋愛やマーケティング・営業などで使える心理学なので、ぜひ参考にしてみてください。
ザイオンス効果は、人間関係においてとても大事な心理効果です。
こんな方へ
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それでは見ていきましょう。
目次
ザイオンス効果(単純接触効果)とは

ザイオンス効果(単純接触効果)とは、同じ人やモノに接する回数が増えるほど、好印象を持つようになる心理効果です。
英語では、Mere exposure effectと書きます。
ザイオンス効果の語源・由来
1968年にアメリカの社会心理学者ロバート・ボレスワフ・ザイオンスが広めました。
2019年時点で、まだ50年ぐらい前なので、わりと最近のことですね。
他の呼びかた
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ザイオンス効果の実験例
ザイオンス効果の実験についてご紹介します。
実験概要
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実験内容
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実験結果
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ザイオンス効果の具体例
接触すればするほど、印象が変わるザイオンス効果。日常にある具体例をみていきましょう。
(1)恋愛

街中や、電車でいつもよく見かける人っていますよね。一回も話したことないのに、接触する回数が多くなることから、親近感が湧くことはありませんか?
そこから、新しい恋愛に発展するなんてこともあります。
また、よくモテる人は「マメな人」なんて言われたりもしますが、これも接触回数が上がるため、好印象を抱きやすいことを表していますよね。
恋愛をうまくいかせたい時は、適度に接触頻度を増やすといいです。
(2)職場の人間関係

職場でもザイオンス効果は発揮されます。
同僚や上司、部下なども、基本的には出社するたびに接触しますよね。
それに、ただ単に接触するだけではなく、コミュニケーションも取らなければなりません。
逆に挨拶やコミュニケーションがない職場は、ザイオンス効果の恩恵が受けられないため、仕事の生産性が下がるということもあります。
(3)マーケティング

例えばテレビCMですが、最初はそのCM自体にまったく興味ないんですよね。
それが、目に入るうちにどんどん刷り込まれ、気づいたら口ずさんでしまいます。
とくにCMや広告は、意識していなくてもみますよね。
ぼくたちの無意識に働きかけているので、知らない間に接触回数が増えています。
関連する心理学として、セブンヒッツ効果があります。
消費者がコマーシャルに7回接触すると、 お店でその製品を選ぶ確率が高くなるという心理効果です。
(4)営業

飛び込み営業したとして、最初は跳ね返されるけど、通い続けると効果が出たりします。
これも、ザイオンス効果の影響があります。
何度も何度も接触しているうちに印象が変わっていくんですね。
(5)音楽

それほど好きでもなかった音楽が、聴いているうちにどんどん好きになっていったという経験はありませんか?
終いには歌詞や曲まで完コピできるようになることもありますよね笑
そういう意味では、以下のことが言えます。
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(6)勉強

全然覚えられない単語や文章も、何度も接触しているうちに覚えられます。
足し算、引き算、九九や日本語だって、繰り返しによって好意が高まり、今では当たり前にできますよね。
英語も同じで、聴き取れるようになったり、単語を覚えるのも、単純に接触回数が多くなったことが考えられます。
(7)匂い・味

例えば家庭のカレーの味って決まっていることが多いですよね。
それが、少しでも変わると、違和感を感じます。
これは、普段食べ慣れたカレーの匂いや味が、自分のなかで印象形成されているからですね。
基本的には接触回数によって、カレーに対する印象がより強固になっていきます。
だから普段と違うカレーを食べると、すぐに違いが分かるんですね。
ザイオンス効果で一番身近な例は、自分自身

実は、自分自身に対してもザイオンス効果が働きます。
例えば
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人間は、普段見慣れているもの、聴きなれているものが心地よいと感じます。
僕たちは自分の顔を鏡で見るし、自分の声は頭蓋骨に響いた音を聴いています。
そのため、写真や映像を観たり、音声を聴いたりすると、違和感・不快感を感じてしまうんですね。
ザイオンス効果が逆効果にならないための対策

ザイオンス効果において、最も恐れるべきものは逆効果になることです。
実はザイオンス効果を意識しすぎると、落とし穴にハマります。
ここでは、どんなポイントに気をつけるのか、お伝えしていきますね。
(1)接触する回数はどれくらいがいい?

接触回数には、実は10回という限界があります。それ以上は、何回接触しても印象はなかなか変わらないことが分かっています。
例えば
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このような状況のときは、同じ接触の方法をとっても、改善は困難です。そのため、接触方法を変える必要があります。
上記の例でいえば
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ポイント
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(2)接触する間隔(頻度)はどれくらいがいい?

接触回数と同じくらい大事なのが、接触する間隔(頻度)です。
例えば
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会う時間VS会う間隔(頻度)
この場合は、会う間隔(頻度)の方が大事です。いくら長時間会っても、接触間隔(頻度)が低いと、なかなか親密にはなれません。
ポイント
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(3)嫌いな人にはどう対処したらいい?

ただやみくもに接触回数や頻度を増やせばいいわけではありません。回数や頻度を増やすことで逆効果になることもあります。
それは、自分が嫌いだと思っている相手が対象の場合ですね。
嫌いな人とは、会えば会うほど嫌いになってしまう傾向があります。
それは、すでに嫌いという印象があなたの中につくられてしまっているからです。
嫌いというフィルターを通して、接触を増やしてもどんどん嫌いになるだけです。笑
もちろん誤解が解けるなどして、好印象に変わることはありますが、確率は低いですよね。
嫌いな人と無理に付き合う必要はないですが、仲良くなりたいと思っている人は、まず相手に対する印象を疑うことから始めるべきです。
つまり、相手に対する偏った見方を疑ってみるのです。その後で相手と出会うと、印象が変わってきます。
ポイント
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ザイオンス効果は、回数・頻度・関係性を注意する

まとめると、ザイオンス効果で注意すべきポイントは以下です。
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嫌いな人とは、会えば会うほど嫌いになります。
また、どんなに仲が良い人でも、接触回数や頻度が異常に多くなると、人は不快に感じます。
どんなに良い商品のCMでも、繰り返し流れたらうざったくなりますよね。
どんなに好きな歌手のライブでも、まったく同じ歌を5時間も歌われたら衝撃的ですよね。笑
他にも、SNSやブログ、メルマガの更新頻度なども適度な回数と頻度が求められます。
このように、人・モノ・情報において、接触回数、頻度、関係性はとても重要です。距離感という言葉に置き換えてもいいのかもしれませんね。
ザイオンス効果の論文

補足として参照論文をご紹介します。
日本学術振興会(愛知淑徳大学)の川上直秋氏のものです。
論文(PDF):単純接触効果と無意識
「われわれの好意はどこから来るのか」というテーマで書かれてあり、面白い内容になっていますよ^0^
ザイオンス効果のまとめ

いかがでしたでしょうか。
ザイオンス効果は接触回数が増えるほどに、好印象を抱く心理効果です。
しかし、過度な接触は自分にも相手にも不快感を与えてしまいます。
そうならないためにも、ちょうどいい距離感で、関係を築けたらいいですね!
ポイント
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