エンハンシング効果とは、褒めることで相手のやる気を高める心理テクニックのことです。
普段は企業で働きつつ、心理学研究やカウンセリングをしています。
- エンハンシング効果について分かりやすく知りたい。
- 実験例や具体例なども知りたい。
- やる気を高める褒め方と注意点について教えてほしい。
- アンダーマイニング効果との違いを理解したい。
本記事はこれらの悩みを解決する内容でして、読み進めると以下のメリットがあります。
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人の褒め方って、ぶっちゃけ難しいですよね。
褒めるとやる気が高まる人もいれば、やる気がなくなる人もいます。
そんな褒め方で悩んでいる人は、エンハンシング効果について理解しましょう。
具体例や実験例などもあわせて、わかりやすく解説していきます。
褒め上手になって、人間関係を良好にしていきましょう!
目次
エンハンシング効果とは?
エンハンシング効果(Enhancing effect)とは、賞賛の言葉を相手にかけることでやる気を高める心理現象のことです。
賞賛効果とも呼ばれますね。
あまりやる気がなかったことを褒めて、やる気を引き出します。
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少し難しい言い方をすると、外発的動機づけによって内発的動機づけを高めるのが、エンハンシング効果です。
エンハンシング効果の実験例
1925年にアメリカの発達心理学者エリザベス・B・ハーロックが実験を行いました。
実験概要
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実験内容
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実験結果(結論のみで過程は省略)
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実験結果からわかること
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叱ることは長期的に見ると、あまり効果がないのかもしれませんね。
エンハンシング効果の具体例
エンハンシング効果を具体例でみていきましょう。
教育
エンハンシング効果によって、子どもの学習意欲が高まります。
事例:親(先生)と子ども(生徒)の関係
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詳しくは後ほど解説しています。
仕事
エンハンシング効果によって、部下の仕事の生産性が高まります。
事例:上司と部下の関係
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エンハンシング効果:やってはいけない褒め方

能力や結果を褒めることです。
例
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このように能力や結果を褒めると、挑戦することができない性格になる傾向があります。
なぜならば失敗を恐れるようになるからです。
ではどのように褒めればいいのでしょうか。ポイントを解説します。
エンハンシング効果:褒め方のポイント
能力や結果ではなく、行動や努力を褒めることです。
× 能力、結果を褒める 〇 行動、努力を誉める |
行動や努力を誉めたほうが良い理由
3つのメリットがあるからです。
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努力や行動そのものを褒めることによって、向上心が高まります。
これはスタンフォード大学の心理学者キャロル・S・ドゥエックが、実験で証明しました。
小学生400人ほどを対象に、褒め方にまつわる実験をおこなったんですね。
関係性も重要
どんなに誉めても、相手との関係性が出来ていないと、あまり影響力がありません。
例えばどちらに褒められるのが嬉しいですか?
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例が極端ですが、関係性ありきの賞賛が大事です。
エンハンシング効果に関連する心理学
アンダーマイニング効果
自発的なやる気がある人に、報酬やご褒美を与えることでやる気が下がる心理現象をアンダーマイニング効果といいます。
エンハンシング効果との違いは
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相手の状態によって、作用する心理効果が違うんですね。
つまり、もともとやる気がない人に報酬やご褒美を与えると、やる気が高まります(エンハンシング効果)。
しかし、やる気がある人に報酬やご褒美を与えると、やる気がなくなります(アンダーマイニング効果)。
⇒アンダーマイニング効果とは?絶対にやっていはいけないやる気の高め方
ピグマリオン効果
ピグマリオン効果とは、教師が期待することで、生徒の成績が向上する心理現象です。
勉強しろ!と頭ごなしに言われるよりも、ただ期待されることの方が、かえって成績が伸びるということですね。
ホーソン効果
ホーソン効果とは、人から見られていると頑張ってしまう心理現象です。
人間は、他人から介入されるのは嫌なものです。しかし、他人から見られているとついつい頑張ってしまうんですね。
機能的自律
ある行為を目的を達成するための手段と考えていたのに、次第にその行為自体が目的に変わる現象です。
例
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エンハンシング効果のまとめ

相手を褒めるには、褒め方が重要です。
相手の状況に合わせて褒めないと、逆効果になりますからね。
子どもに勉強してほしい時や、部下に仕事をしてほしい時など、褒め方にこだわってみると効果が発揮されます。
ぜひ試してみて下さい。
ポイント
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