普段は企業で働きつつ、心理学研究やカウンセリングをしています。
今回は人が見て見ぬふりをしてしまう4つの理由を解説します。
結論からお伝えすると
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上記について深堀りしつつ、事例や実験例などもあわせてわかりやすく解説していきます。
見て見ぬふりが起こる4つの理由
繰り返しですが、理由は以下4つです。
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多元的無知
多元的無知とは、かんたんにいうと「空気を読む」ということです。
人は他人の様子を見て、そのときの状況を判断します。
例:いじめ
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お互いがこのように思っていることが、わりと多いんですね。
責任の分散
責任の分散とは、いわゆる責任を取りたくない!と思う心理ですね。
人は他人と同調して、責任や非難を分散したいと考えます。
例:仕事
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自分にメリットがないことは、なるべく責任をとりたくないという心理がはたらくんですね。
聴衆抑制
聴衆抑制とは、人の目を気にして行動が抑制されることです。
人は行動を起こしたとき、周りからの評価を気にします。
例:電車で席を譲る
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行動した結果、人の目をきにしてしまうことを「評価懸念」といったりもしますね。
対処法の無知
対処法の無知とは、問題に直面したときの解決策がわからない状態のことです。
人は何をすればいいのか分からないとき、パニックになります。
例:目の前で親が倒れた
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これは僕が実際に経験したことです。
最初はめちゃくちゃパニックになりますが、もともと対処法を知っていたので、すぐに救急車を呼んで解決できました。
たとえば災害があった場合にどうするかとか。
傍観者効果とは
傍観者効果とは、集団心理のひとつです。
ある状況に対して、自分以外に傍観者がいると、率先して行動を起こさなくなる心理現象です。
語源
1964年3月13日にニューヨークで起こった、婦女殺人事件が由来です。
のちほど解説します。
傍観者効果による事件

傍観者効果によって引き起こされた、凶悪な事件をご紹介します。
キティ・ジェノヴィーズ事件
事件の情報
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事件の状況
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このような状況で、通報したり助けようともしなかった痛ましい事件です(犯行が深夜だったため、現場を直接目撃したわけではない住民もいる可能性あり)。
35分間で3回襲われているのに、住民たちは助けを呼ぶ声を無視したんですね。
警察の見解
住民はだれも助けに行かず、警察に通報したのは1人だけ。
それも3度目の暴行で、女性が殺害された後だったようです。
殺人者のゾッとする言葉
殺人者のウィンストン・モースリー(Winston Moseley)は強姦殺人の常習犯でした。
「なぜ人に見られたのに犯行を続けたのか?」という質問に対して「どうせすぐに窓を閉めて寝るとわかっていたからな」と答えたようです。
この事件がきっかけで傍観者効果が提唱され、社会心理学の常識になりました。
傍観者効果の実験例
1968年、心理学者のラタネとダーリーは、実験をおこないました。
彼らはキティ・ジェノヴィーズ事件に興味を持って仮説を立てました。
仮説
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実験例
実験概要
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実験内容
学生を3つのグループに分ける
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<実験の流れ>
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実験結果
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【結論】実験結果からわかったこと
<キティ・ジェノヴィーズ事件の考察>
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ラタネとダーリーは、実験によって「周りに人がいるときの方が、個人が行動を起こす確率が下がる」と結論づけました。
傍観者効果の対策:被害者にならないための方法
傍観者効果によって、被害者にならないための3つの方法です。
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自分が傍観者にならない
当たり前ですが、自分が傍観者だったら周りから見捨てられますよね。
見て見ぬふりをすれば、必ず見て見ぬふりをされます。
逆にいえば1人が動くと、周りもそれに同調して動き出します。
傍観者効果に負けず、自分から行動することが重要ですね。
緊急性を伝える
たとえばパワハラで仕事を休みたいのに、我慢していませんか?
周囲の人はパワハラに気づいていても、傍観者効果がはたらけばなかなか助けてくれません。
そんなときは同僚や上司、家族、友人など、特定のだれかに向けて助けを出しましょう。
対処方法を伝える
あなたのことを助けたくても、単純に対処方法が分からなくて困っている人もいます。
わりとこういう人は多いです。
助けてほしいときは、特定のだれかに向けて対処方法とセットで伝えましょう。
参考書籍:キティ・ジェノヴィーズ事件の真相
まとめ

見て見ぬふりをしてしまう4つの理由
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傍観者効果とは
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傍観者効果への対策
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