今回は【アンカリング効果】について説明していきますね!!日常であるあるな心理学をぜひ学んでみてくださいね!
この記事を読めば、以下のことが分かるよ。
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それぞれ見ていこう。
アンカリング効果とは

アンカリング効果とは、印象的な情報や数値が基準となって、その後の行動に影響を与える心理効果です。
モノゴトを歪んで判断してしまう認知バイアスのひとつですね。
1974年に行動経済学者のダニエル・カーネマンさんと心理学者のエイモス・トヴェルスキーさんの論文によって発表されました。
ちなみに英語ではAnchoring effectと書きます。
語源
アンカリング効果のアンカーとは「いかり(錨)」を意味します。
船がその場に止まる為に、錨を使いますよね。
このように、アンカリング効果とは、特定の情報をアンカー(錨)として判断に影響を与えています。
アンカリング効果が起こる原因・実験例
アンカリング効果はどんな要因があって起こるのか。
裏付けられた実験例も併せて説明していきますね。
アンカリング効果の原因
アンカリング効果が起こる原因は人間の判断の特徴にあります。人は何かを判断する際の情報が十分にそろっていない状況では、特定の特徴や情報を重視しすぎる傾向があります。その為、何か判断をする際にあらかじめ基準を設定してしまいます。
アンカリング効果を裏付ける実験
アンカリング効果の実験をご紹介します。
実験概要
被験者を2つのグループに分けて、次の計算問題の答えを5秒以内に推測してもらう。 |
実験内容
A:8×7×6×5×4×3×2×1 B:1×2×3×4×5×6×7×8 |
上記はどちらも同じ答えになります。答えは40320ですね。
しかしながら、それぞれ推測した答えの中央値は以下になりました。
実験結果
A:2250 B:512 |
全然違う回答になりましたね。
これは、最初に目にする数字(Aは1/Bは8)の大きさがアンカーとなってしまうからです。
アンカリング効果の具体的な事例

アンカリング効果の具体例をご紹介します。
具体例を見て、ぜひ活用してみてください。
恋愛
恋愛においては、過去に付き合った人をアンカーにする傾向があります。
いわゆる「元カレ」「元カノ」というやつですね。
新しく付き合った人は良くも悪くも、相手の過去の恋人を基準に判断されていることが多いです。
マーケティング
レストランに行ったらメニュー表を見ますよね。
実はメニューにもアンカリング効果が隠れています。
例えばドリンクメニューであれば、一番高価なドリンクを最初に記載しておくことで、そのドリンクの価格がアンカー(基準)となります。
すると、それ以下に書いてあるドリンクの価格が安く感じてしまうんですね。
また、これとは反対に薄利多売のお店では、最初に一番安価なドリンクを最初に記載します。
すると、総額は安くなるだろうという心理効果が働いて、たくさん注文してもらえます。
ちなみに似たような心理効果で松竹梅の法則というのもありますね。
ルーティン
アンカリングは例えば、プロスポーツ選手の間でも使われるテクニックのひとつです。
有名な選手でいえば、野球のイチロー選手ですね。彼は打席に立ってからいつも同じ動作を取っていますよね。
その動作がアンカーとなり、高い能力を発揮できるようにしています。
他にも、このような例があります。
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他にも、朝起きてコーヒーを飲むこともアンカリングのひとつです。
最高のパフォーマンスを発揮する為にも、このようにアンカリングは使われています。
投資
株式やFX投資をしている人ならお分かり頂けると思います。
例えば1万円で購入した株が2万円に上がると、当然嬉しい気持ちになりますよね。
逆に2万円で買った株が1万円に下がると、落ち込みますよね。
これは最初に購入した金額を基準に、その後の金額を判断してしまうからです。
つまり、最初の金額がアンカーとなってしまう為、判断を誤ることもあるんですね。
アンカリング効果の問題点

アンカリング効果には、メリットだけでなく、デメリットもあります。
この問題点も把握しておかないと、危険ですね。
ここでは2つの例をご紹介します。
二重価格表示

あなたが商品の価格を考える立場にある場合、「二重価格表示」に注意しなければなりません。
これは、「通常価格」を通常よりも高く表記してセール中の商品価格を安いと感じさせるような手法です。
二重価格表示をやってしまうと、景品表示法にひっかかります。
例えば通常価格10万円のパソコンを、通常価格15万円、セール価格10万円とするような手法ですね。
医療
医療現場においては、このような例があります。
米国小児保健協会で明らかになった事例です。
事例概要
小児科医の3人の先生ABCはそれぞれどのような判断をするのか。 |
実験内容
まだ扁桃腺を除去していない11歳の子ども400人の診察をします。 そこで400人のうち何人が手術を受けるべきか指示します。 |
先生A
手術と判断した子どもの数は全体の45%(180人)でした。 |
先生B
A先生が手術はしなくて良いと判断した子どもたち(220人)を診察。 その中の46%(101人)に手術を勧めた。 |
先生C
B先生が手術をしなくてよいと判断した子どもたち(109人)を診察。 その中の44%(52人)に手術を勧めた。 |
このような結果からアンカリング効果がいかに恐ろしいことかお分かり頂けたかと思います。
3人の小児科医は「11歳の子どもの半数は扁桃腺を切除する必要がある」という予測を元に、アンカーを降ろしてしまっていたということです。
まとめ

いかがでしたでしょうか。
アンカリング効果には、最高のパフォーマンスを発揮してくれるメリットと、問題となってしまうデメリットが存在します。
日常でよくある心理現象なので、ぜひ学んで活用してみてください。
ポイント ・アンカリング効果とは印象的な情報や数値が基準となって、その後の行動に影響を与える心理効果。 ・人は何かを判断する際の情報が十分にそろっていない時、特定の特徴や情報を重視する。 ・アンカリング効果は、一歩間違えると偏ったモノの見方になる危険性がある。 |